ガルバリウム鋼板は、その高い耐久性から住宅の外壁や屋根材として広く採用されていますが、「錆びない」というイメージとは裏腹に、特定の条件下では錆びが発生することもあります。
本来、アルミニウムと亜鉛の合金めっきが鋼板本体を保護する仕組みにより、優れた耐食性を発揮しますが、その保護性能にも限界は存在します。
今回は、ガルバリウム鋼板がなぜ錆びてしまうのか、そのメカニズムと発生要因を詳しく解説し、さらに発生してしまった錆びに対してどのように対処できるのか、初期段階での処置から専門的なメンテナンス方法までを具体的にご紹介します。
ガルバリウム鋼板が錆びる理由とは?
ガルバリウム鋼板の主成分と錆びのメカニズム
ガルバリウム鋼板は、鋼板の表面にアルミニウムを約55%、亜鉛を約43%、そしてシリコンを約1.5%含む合金でめっきされた建材です。
このめっき層は、主に「保護被膜の形成」と「犠牲防食作用」という2つのメカニズムによって、内部の鋼板を腐食から守っています。
まず、めっき層のアルミニウム成分が空気中の酸素と反応して、緻密な酸化アルミニウムの保護被膜を形成し、めっき層自体の酸化や腐食の進行を遅らせます。
さらに、亜鉛成分が犠牲防食作用を発揮し、めっき層に傷がついて鋼板が露出しても、亜鉛が鉄よりも先に電気化学的に反応して溶け出すことで、露出した鋼板部分の錆びを防ぐ働きをします。
しかし、この犠牲防食作用は無限ではなく、めっき層の亜鉛がすべて溶け出してしまうと、地金の鋼板が直接腐食し始め、いわゆる「赤錆」が発生する原因となります。
錆びを促進する外的要因:傷・塩分・汚れ
ガルバリウム鋼板の錆びの発生は、素材自体の性質だけでなく、外部からの様々な要因によって大きく促進されます。
例えば、施工時や飛来物などによって生じた表面の傷は、めっき層の保護被膜を破壊し、鋼板が露出する直接的な起点となります。
海岸地域に住んでいる場合や、冬場に融雪剤が使用される地域では、空気中や地面に存在する塩分が建物表面に付着しやすくなります。
塩分は水分と結びつくことで電気を通しやすくなり、めっき層の腐食反応を著しく加速させるため、錆びの発生リスクを高めます。
また、建物の外壁や屋根に堆積した埃や煤煙、工場からの排気ガスなども、錆びを促進する原因となります。
これらの汚れは水分や塩分を保持しやすく、通気性を妨げることで、めっき層が常に湿潤な状態になり、腐食が進行しやすい環境を作り出してしまいます。

ガルバリウム鋼板の錆びは対処できる?
初期段階での錆びの除去と保護
ガルバリウム鋼板に発生した初期の錆び、例えば赤茶色の点状の錆びなどは、まだ軽微な段階であれば比較的容易に対処することが可能です。
この段階で適切な処置を施すことができれば、錆びの拡大を防ぎ、建材の寿命を延ばすことにつながります。
まずは、柔らかいブラシや乾いた布を用いて、付着した錆びや汚れを丁寧にこすり落とします。
落ちにくい汚れには、中性洗剤を薄めたものを使い、その後しっかりと水で洗い流して洗剤成分を残さないようにすることが重要です。
清掃後は、水分を完全に拭き取り乾燥させた上で、錆止め効果のあるタッチアップ塗料や、ガルバリウム鋼板用の補修塗料を薄く塗布し、保護します。
ただし、錆びが広範囲に及んでいる場合や、めっき層の損傷が激しい場合は、DIYでの対応が難しくなるため、専門業者への相談を検討することをおすすめします。
再塗装による錆び対策とメンテナンス
ガルバリウム鋼板の錆びが広範囲に広がってしまったり、めっき層の劣化が進み、初期の錆び取りだけでは対応が難しい場合には、再塗装による大規模な補修が有効な手段となります。
再塗装は、建材の美観を回復させるだけでなく、新たな錆びの発生を効果的に抑制し、建物全体を長期にわたって保護する役割を果たします。
再塗装を行う際には、まず高圧洗浄機などを用いて、表面の汚れ、旧塗膜、浮き錆などを徹底的に除去します。
その後、ケレン作業(表面処理)を行い、錆止め効果のある下塗り塗料を丁寧に塗布します。
下塗りが乾燥したら、中塗り、上塗り(仕上げ)と、数回に分けて専用の塗料を塗り重ねていきます。
使用する塗料は、ガルバリウム鋼板の特性に合った、密着性や耐久性に優れたものを選ぶことが大切です。
定期的な点検と適切なメンテナンスを継続することで、ガルバリウム鋼板の美しさと機能を長期間維持することが可能となります。

まとめ
ガルバリウム鋼板は、その優れた耐久性から多くの住宅で採用されていますが、素材の特性と外部環境要因が複合的に作用することで、錆びが発生する可能性があることを理解しておくことが重要です。
この記事で解説したように、めっき層の犠牲防食作用にも限界があり、傷、塩分、汚れといった外的要因が錆びの進行を早めることがあります。
しかし、初期段階での丁寧な清掃と保護、さらには広範囲に及んだ錆びに対する再塗装といった対処法が存在します。
定期的な点検と、必要に応じた適切なメンテナンスを行うことで、ガルバリウム鋼板の美観と機能を長持ちさせ、建物を長期にわたって保護することが可能となります。